自閉症と記憶

オレは認知心理科学の専門家じゃないし,それを専攻する学生でもないので全く詳しいことは分からないのだが,Stephen Wiltshireという人は一目見た風景を決して忘れないらしい.結構前にテレビでもやってたので覚えてる.ひろぶろで紹介されてて思い出した.

彼はサヴァン症候群と呼ばれる自閉症患者の中でもごく一部に見られる特別な病気らしい.wikipediaにちょっと載ってる.

ところで,京極とかにも書いてあるように,人間は本来記憶を失うことはなくて,単に記憶を取り出せなくなるということだけの話らしい.ということは我々は誰でもステファンのようなことができる体になっているということなんだろう.ただ,彼の場合は,何年の前に読んだ本の一節を覚えてるようなフォン・ノイマンと違い(彼は紛れもない天才だったのだが),短期的な記憶能力が信じられない程優れているのだ.ステファンの長期的記憶能力については情報がないので何とも言えないわけだけど...

よく,magical number seven plus minus twoが,人間の短期記憶能力の限界だと言われる(ある人はこの論文のタイトルがめっさ魅力的だと言っていたが,オレもその通りだと思う.プラス,マイナスで韻を踏むところなんかが良いわ).ステファンはその限界を明らかに超えているように見える.もしかすると,そもそも記憶の単位が違うのかもしれない.ステファンは写真として,つまり視覚から得た情報を何の加工もせず全くそのまま保存しておいて,取り出すときに初めて細部に目を向けてるの・・・かも.たぶん記憶力の優れた人はこういうことをしているんだろうし,速読なんかでも使われるテクニックだと聞いたことがある.

ステファンの記憶の限界がどう与えられるのかもよく分からない.ステファンは,いつまで景色を覚えているのだろう.彼は死ぬまで見たことを覚えている(つまり記憶の倉庫から取り出せる)のだろうか.サヴァン症候群の患者の中には,一度見聞きしたものは決して忘れないという人々がいるようなので,たぶんそれも真なのだ.信じられない.もちろん記憶できる量に関しては物理的に記憶できる限界がどっかにあるんだろう.

いずれにしても完全に私の理解をずっこーん飛び越えた存在であり,そして確実に実在する以上は,信じる・信じないとかじゃなくて,なぜそんなことが可能なのかを知りたいんだおwww