F1 ミハエル・シューマッハ ラストラン
F1の面白さが詰まったレースだと思う。グルグル回ってるだけだと思う人もいるだろうけどね。久々に見て泣いてしまった。分かりやすく解説付けてみた。言っとくが俺はフェラーリファンでもミハエルファンでも無いんだ。でも感動した。
一応ミハエルの経歴。wikipediaより。
- チャンピオン獲得回数 歴代1位
- チャンピオン連続獲得回数 歴代1位
- 優勝回数 歴代1位
- ファステストラップ回数 歴代1位
- ポールポジション回数 歴代1位
主要な記録は全部一位。出走回数が多いのは事実だから単純に数字だけでは評価できないのも分かる。だからこそレースを見て欲しいと。
2006年最終戦ブラジルGP。この年、フェラーリのお膝元であるモンツァ(イタリアGP)で既に引退を表明していたミハエル・シューマッハ。彼を引退に追い込んだのが、2005年のチャンピオンシップを制したルノーの史上最年少チャンピオン、フェルナンド・アロンソ。この最終戦、ミハエルがチャンピオンになるには、ミハエル優勝+アロンソノーポイント(9位以下)という非常に厳しい条件を満たす必要があった。本当に厳しい条件。ミハエルは結果には拘らないと言ってたが、最後の逆転チャンプを信じる人もたくさんいたと思う。
しかし迎えたGPウィークの土曜日、予選最終ラウンドでミハエルにまさかのマシントラブル(フェラーリがトラブル起こす事事態非常に珍しい)。結局タイムを出せず10番手スタートになった。この時点でほぼチャンピオンは消えたと言ってよかった。ミハエル\(^o^)/オワタと思った。
そして日曜日。快晴のインテルラゴス。ミハエルのF1GPラストラン。
http://www.nicovideo.jp/watch/sm49694
(動画ではオーバテイク後に、抜いたドライバーの名前が出ます)
0:11 スタート直後のバックストレート。前でバトルするBMWの二台に対し、右に左にふりながら、次のコーナーで一気に二台を抜き去る。
0:46 2周目のバックストレート。さらにホンダのバリチェロを抜き、一気に6位。フェラーリ+ブリヂストンが完璧。優勝も可能だと思った。
0:55 前を行くのはアロンソのチームメイト、フィジケラ。前年のチャンピオンマシン、ルノー。簡単には抜けない。
1:25 フィジケラをオーバーテイク。しかしその際にフィジケラのマシンと接触し、リアタイヤがバースト。これまで、ミハエル+フェラーリと最強時代を築いてきたブリヂストンタイヤが悲鳴を上げた。緊急のピットインが必要で、まだ9周目。燃料を十分に積むことは出来ない。つまり完全に無駄なピットイン。この時点で優勝はほとんど消え、チャンピオンへの道も消えた。
だけどミハエルのレースはここから始まった。詳しくは書かない。とりあえず見て欲しい。
あれだけのオーバーテイクが出来たのは、トラブルで下位に沈んだため、マシンの性能差があったからなのは間違いない。抜いて当たり前というのも分かる。抜いたこと自体に感動したんじゃない。
ひとつは、引退レース、チャンプの可能性も消えてしまったレース、それも自分のミスじゃなく、マシントラブルとかアクシデントによってなのに、本当にギリギリの、闘争心溢れるレースを見せてくれた。これで引退するとは思えない走りだった。ひとつも手を抜かなかった。諦めなかった。それを象徴するようにレース中、最速ラップを記録したのはミハエルだった。チームメイトで優勝したマッサよりも0.7速い、驚異的なラップタイムを71周のレースの70周目に記録した。事実上生涯最後の1ラップに、最速タイムを記録するなんてかっこよすぎだろ。
もうひとつは、最後に皆にお別れの挨拶をしているようだったこと。明らかな性能差がある場合、無理な接触を避けるためにもマシンが道を譲ることはある。ただ、このレースでミハエルに道を譲ってるシーンっていうのは、それ以上に感慨深いものがあった。偉大なチャンピオンに対する敬意が感じられた。フェラーリ黄金期を共に作ったバリチェロを抜いていくとき、ミハエルは右手を挙げて挨拶した。ちなみにその後に手を挙げてるシーンは、周回遅れに怒ってるサインww最後なのにwwww
数あるオーバーテイクの中でも特別だったのが最後の最後のオーバーテイク。ミハエルにとってF1最後のバトルの相手はマクラーレンのキミ・ライコネンだった。ミハエルは彼を自らの後任としてフェラーリのドライバーに推薦していた。ミハエルが素直に速さを認めた相手。その相手と最後にバトル。動画だと8:00辺り。最高のドライバー二人の、最高にフェアで、最高にカッコいいバトルだった。
スポーツに限らずどんなことも、表面なぞっただけじゃ分からないと思うんだよね。F1だって、見ただけじゃただグルグル回ってるようにしか見えないだろうしね。でもレースの中身はほんとに濃いんだ。ドライバー同士の戦い、チーム同士の戦い、速いか遅いかだけじゃない。心理戦、戦略の違い、色んな面での戦いがある。見てるだけじゃ分からないんだよね。おれはなんでそういうことに気づいたのか分からないけど。ただ単にかっこいいと思ってたからかな。
ミハエルはもういないけど、今のF1には彼に匹敵するくらい素晴らしいドライバーはいる。今週の2007最終戦ブラジルGP、上に出てきたアロンソとライコネン、そしてアロンソのチームメイトの新人ハミルトンの三人がチャンピオンを賭けてレースをするんで。暇だったら見てください。
ミハエルのラストランから一年。
アロンソが3年連続チャンピオンになるのか。
ライコネンがミハエルの意志をつぎ、フェラーリに2年振りのドライバーズチャンピオンをもたらすのか。
それともハミルトンがアロンソを破り、史上最年少、デビューイヤーのチャンピオンに輝くのか。
目が離せません。ぼくはらいこねんを応援してます。とりあえずハミルトンは絶対やだ^^