鬱とかいじめとかと自殺

Life

どうこう言う気はないと書いたけど、自殺についてもうちょい考えてみます。

昨日のコメント欄にwd0さんが書かれている通り、鬱による自殺は病死と捉えるべきだと思います。それは恐らく、多くのいじめを苦にした自殺についても言えることでしょう。いずれも、通常は考えられない精神状態だと思います。しかし、それだけに過ぎません。自殺だけが特別な結果ではないと思います。鬱によって、失語症になるのも、自殺するのも、同じだけ深刻なはずです。問題は鬱そのものにあるからです。いじめも同じです。ですから、自殺は悪いことではないという点を強調しました。問題を正しく認識するために、です。

鬱病患者にとっての自殺に関わる本人の意志について、局所的には、彼は彼の脳で彼の手を使いロープを彼の首にかけるなどするわけですから、そこには間違いなく意志が働いています。一方大局的には、彼の精神が何らかの外因によって破壊されているのだから、それは彼本来の意志ではないとも言えるでしょう。

これは捉え方の問題に過ぎません。私は、前者が真実なのだと思います。意志に本来も何もありません。目的を持ち行動する原動力が意志です。ですからこの場合、自殺したいという目的を達成するために、自殺するような行動を起こすものが、彼の意志だと思います。自殺しないような正常な精神で生きたい、という意志は存在しません。それが存在しないから病気だと見なされるはずです。すでにない意志を救おうとしても無意味ではないでしょうか。推測でしか行動できません。救うなら自殺したいと思う前です。精神が破壊されていようといまいと、死にたいと願う人にとっては、その時点では、死ぬことは彼にとってプラスだと考えているはずです。プラスだと思ってるなら、彼にとってはした方が良いのだと思います。ですから、「死にたい奴は死ね」という言葉になるわけです。

私はそもそも、自殺が悪だという論調の根底には、死というものに対する敬遠感があるのだと思います。私たちは、死という言葉に敏感過ぎます。死は誰にでも訪れるものであって、特別なことではありません。誰でも自殺するわけではありませんが、してもしなくても結果は変わりません。いつか必ず死にます。ですが、いじめは違う。鬱もそうです。いじめがあるのとないのとでは、結果は大きく違うはずです。だから問題になります。問題は自殺そのものじゃなくて、いじめとか鬱とかいうものです。

人が死ぬということが、これ以上ないほど当たり前のことなのに、私たちには衝撃に思えて、そちらにばかり考えがいってしまう。何故自殺したのかを考えるのは、それなりに意味があるでしょう。ですがもっと直接的に、何故いじめというものがこの社会に頻繁に起こってるのかを考えなくてはなりません。これについてはマスコミに大きな怒りを感じます。数年前はいじめ問題自体を積極的に取り上げていましたが、今はもうありません。ですが人が死ぬと、狂ったように騒ぎます。それに反応する人たちがいるからです。死のうが死ままいが、いじめ自体が深刻なんです。結局死に対する恐怖感から、いじめの問題が、単なるセンセーショナルな死の話題に摩り替わってるように思えます。心理学者精神医学者はそんなに愚かではないでしょうから、鬱病に関する研究は盛んに行われているでしょうが、いじめに関しては違うのではないでしょうか。

自殺自体は悪ではありません。しかしいじめは無くすべきです。自殺者を減らすのではなく、いじめを減らすことを考えなければなりません。自殺しなくてもいじめに苦しむ子供はたくさんいます。不登校になった児童の報道はないのに、自殺した児童の報道ばかりされています。だから「自殺しないで」と言うわけです。本当は「いじめをしないで」というべきです。どちらも同じ意志ですが、社会が抑えるべき意志がどちらかは明らかです。

なんだかいじめの話になってしまいましたが、最後に自殺についてもう一度。自殺が良いことだとは思いません。どんどん増やせなんて思いません。ですが、悪だとも思いません。無理して減らす必要なんてない。

善悪自体人間が勝手に生み出したものです。善悪は倫理感によって決まりますが、私はそもそも倫理感自体が真理だとは思っていません。たまたま、今の倫理感になってるだけです。人を殺すことが素晴らしいことだという倫理に基づく世界があっても何もおかしくない。倫理に縛られすぎるのはよくありません。もちろん倫理を尊重することは大事です。ですが、自分たちのものだけではなく、あらゆる倫理感を尊重する必要があります。例えば、愛する人の体を切り刻んで食べることが、最大の愛の表現なんだと考えている人種に対して、おこがましくも、「それは間違ってる！」なんて言えるわけがありません。これほどの衝撃を受け入れなければならないとしたら、自殺に関する倫理もまた然りでしょう。その人にとっての望みを、社会全体が止めなければならないほど、自殺というのは深刻な問題ではありません。人を殺すことを止めなければならないのは、結局は自分が殺されたくないからです。自殺はこれとは大きく違います。止める必要がない。自殺したいと思っている時点では問題はもうないんです。だから、自殺悪な倫理感を共有する必要もありません。共有すべきなのは、いじめ悪な倫理感のみです。

またながながと書いてしまった。ていうか知識不足。結局、自分の中には、絶対真理的な考えと、それを踏まえた現代倫理に基づく考えの両方が混在してる。これをちゃんと区別できないとダメですね。でも手が動かないのでむりぽ。