世界と戦う日本企業

経済なんて初心者ですが、分からないなりに書いてみます。

新日鉄VSミタル

新日鉄VSミタル

経済のグローバル化が進み、業界再編が加速している。ビクターとケンウッドも統合しちゃうし、最近はずっとマイクロソフトがお腹を空かしてYahooを食べようとしちゃうし。まだまだでっかい再編がありそうですが、鉄鋼業界では2006年、生産量世界一位のミタル・スチールが、同世界二位のアルセロールを買収。超巨大鉄鋼メーカー「アルセロール・ミタル」が誕生しました。本書は、そんなミタルと日本産業を支える新日鉄のマネーバトルを中心に、今の時代に企業にとって守るべきものは何かを考えさせるドキュメンタリー本です。

鉄鋼業界は、日本が世界に誇る自動車産業を始め、あらゆる産業にとって超重要な業界ですが、なかなかイメージが難しかったりする部分があるので読んでみました。全体的にもっさりした感じがあって、リアルな企業経営の裏側みたいのはあまり感じなかったんですが、まあ勉強にはなったかなぁ。というか特に波乱もなかったので、お話としてはあんまり面白くないwwwミタル氏がすごいのはよく分かりましたけど。

ただ、企業のあり方については考えさせられました。ヤフー vs マイクロソフトでは、個人的には買収された方がヤフー株主の利益になると思ったんですが、ヤン氏始めヤフー取締役会はMSによる買収を断固拒否しました。MSを毛嫌いするのはよく分かるんですが、それを買収拒否する理由には入れるべきではないと思います。そんなことヤフーは言ってないんですけどね。ただヤフーは、対マイクロソフト企業の代表株でもありますから、下克上好きのようなある株主集団の心理としては、利益どうこうよりもとにかく買収されたくないっていうのもあるのかもしれません。その辺の見極めは難しいと思いますが、企業が個人株主を惹きつける大切さというのが、本書でも書かれています。どんな良い政策でも世論には勝てないって奴です。

日本人としてのナショナリズムは一応持ってますが、それ以上に、今後の世界市場で生き残るための最善の方法というのを各企業には考えてもらいたい。一時の利益や感情じゃなくて、長期的に世界で戦う戦略というのをどんどん見せて欲しいです。いや、見せてくれてますよね。毎日ひとつは、どっかの企業が海外に進出するっていうニュースがあります。今日も大塚製薬がヨーロッパに進出みたいなニュースがありました。買収(するorされる)、合併、提携と、色々な方法があると思いますが、リスクを考慮しながらも、積極的にリスクを負っていく必要があると思います。東芝みたいな企業は応援したくなってしまいます。

そういう観点では、新日鉄という日本を代表する企業が持つ、日本企業として誇りみたいのを感じさせてくれる一冊かもしれません。